シックハウス症候群とは?子どもの健康を守るためのポイント

目次

シックハウス症候群とは何か?

シックハウス症候群は、新築やリフォーム後の住宅で特に問題となる、建物内の空気汚染によって引き起こされる健康障害です

この症候群の主な原因は、建材や家具から揮発する化学物質であり、これにはホルムアルデヒド、トルエン、キシレンなどが含まれます。

これらの化学物質を長時間にわたって吸入することで、頭痛やめまい、アレルギー反応などの症状が現れることがあります。シックハウス症候群は、その名の通り「シック(病気)」になる「ハウス(家)」に関連しています。

ホルムアルデヒド

無色で刺激臭のある有機化合物です。多くの製品に使われますが、健康への影響が懸念され、発がん性物質としても知られています。

トルエン

無色の揮発性液体で、ベンゼンに似た芳香族炭化水素です。塗料、シンナー、接着剤などに使用され、神経系への影響があり、吸入すると健康に有害です。

キシレン

芳香族炭化水素の一種で、主に溶剤や化学合成に使用される。無色透明で、強い甘い匂いがあり、揮発性が高い。健康に有害で、長時間の吸入は中枢神経系に影響を及ぼす可能性がある。

脳への影響がある化学物質

ホルムアルデヒド: ホルムアルデヒドは、建材や家具、接着剤などに広く使われる化学物質です。吸入すると目や喉の痛み、皮膚のかゆみ、さらには喘息の悪化を引き起こすことがあります。長期的な曝露は、子どもの発達に悪影響を及ぼし、行動や情緒の問題、学業成績の低下を招く可能性があります。

トルエン: トルエンは、塗料や接着剤、クリーニング剤に含まれる揮発性有機化合物です。トルエンに長時間曝露されると、頭痛、めまい、倦怠感を引き起こし、神経系に悪影響を与えることがあります。これにより、子どもの集中力が低下し、注意欠陥や多動性行動(ADHD)を助長することがあります。

キシレン: キシレンもまた塗料や接着剤に使用される化学物質です。吸入すると、目や鼻、喉の刺激、頭痛、めまいを引き起こします。長期的な曝露は、神経系への影響が大きく、学習能力の低下や行動問題を引き起こすリスクがあります。これらの影響により、子どもが情緒不安定になりやすくなります。

これらの物質をみて気が付いたことがありませんか?
そう、シンナーを思い出しませんか?
ハイな気分になるのに、違法的に吸っている人がいたシンナーと同じようにな部類がホルムアルデヒド、トルエン、キシレンなのです。

シックハウスを引き起こしやすい建築素材とは

ここでは、シックハウスを起こしやすい建築素材を上げてみます。この建築素材を参考にしてこれから自宅を建てる方、リフォーム工事をしようと思っている方は参考にしてみてください

シックハウスの原因となりやすい主な建築素材

  1. 木質建材
  • 合板
  • 木質フローリング
  • パーティクルボード
  • MDF(中質繊維板)
    これらは接着剤にホルムアルデヒドを含むことがあります
  1. 壁紙
    特に接着剤に含まれるホルムアルデヒドが問題となります
  2. 断熱材
    グラスウールやロックウールなど、ホルムアルデヒドを含む断熱材があります
  3. 塗料・接着剤
    VOC(揮発性有機化合物)を含むものがあります
  4. 仕上げ塗材
    じゅらく壁、樹脂スタッコ、天井用パーライト吹付けなどがあります

これらの建材から放散されるホルムアルデヒドやVOCがシックハウスの原因となります。対策として、F☆☆☆☆(エフフォースター)等級の建材を選ぶことが推奨されています。また、適切な換気設備の設置も重要です

自宅建てた
経験者

このような建築素材や壁紙などは、普段建築会社にまかせっきりになっているものでもありますが、この機会に知識を付けたことで、上記の素材を避けるという選択が出来るようになりますね。

建築会社の担当者に一言添えることも一つの対策です。

F☆☆☆☆(エフフォースター)等とは

F☆☆☆☆等級は、建材から放散されるホルムアルデヒドの量を示す安全性の指標です

引用元はこちら

2003年の建築基準法改正により導入され、JISとJASが認定した製品の安全等級です。

子どもに対するシックハウス症候群の影響

特に免疫力が未発達な子どもにとって、シックハウス症候群は深刻な健康リスクとなり得ます。

化学物質への曝露は、子どもの呼吸器系や免疫系に大きな負担をかけるため、アレルギーや喘息などの症状を引き起こす可能性があります。

また、子どもは大人よりも体重が軽く、呼吸量が多いため、化学物質の影響をより強く受けやすいです。さらに、子どもの発育に影響を及ぼす可能性があり、成長過程において重要な時期に健康を害するリスクが高まります。


子どもがシックハウス症候群にかかりやすい理由

子どもは体重が軽く、呼吸する空気の量が多いため、空気中の有害物質に対して特に敏感です。

このため、成長過程にある子どもは化学物質の影響を受けやすく、アレルギー反応や呼吸器疾患を引き起こしやすいです。

シックハウス症候群が子どもに与える影響

シックハウス症候群にかかると、子どもは学業や日常生活にも大きな影響を受けます。

アレルギー反応や呼吸器疾患により、注意力の低下や疲れやすさが目立つようになります。これにより、学校での集中力が続かず、成績の低下や学習意欲の減退につながることがあります。

さらに、日常生活でも体調不良が続くため、遊びやスポーツへの参加が難しくなり、社会的な活動も制限される可能性があります。

では、どのような事に影響を及ぼすか下記をご覧ください

シックハウスが子どもへ及ぼす5つの影響

室内の空気汚染が原因で引き起こされる健康問題であり、特に子供に対して以下の具体的な影響があります。

  1. 呼吸器系への影響:
  • 咳、喘息の悪化、呼吸困難
    シックハウスの空気汚染により、子供は頻繁な咳や喘息発作を起こしやすくなります。これにより、呼吸困難や夜間の睡眠障害も引き起こされることがあります。
  • 慢性的な気管支炎や肺炎のリスク増加
    継続的な有害物質の吸入により、気道が常に刺激され、慢性的な気管支炎や肺炎の発症リスクが高まります。これにより、長期間の呼吸器系の健康が損なわれる恐れがあります。
  1. アレルギー反応:
  • 皮膚のかゆみや発疹
    シックハウス症候群によって子どもに発生するアレルギーの影響は、呼吸器系や皮膚に現れやす  いです。
    具体的には、喘息やアトピー性皮膚炎が増加し、これが日常生活や学業に支障をきたすことがあります。
  • 目のかゆみや涙目
    シックハウス症候群により、目のかゆみや涙目といった症状が発生することがあります。これは、空気中の化学物質や揮発性有機化合物(VOC)が目の粘膜を刺激するためです。

    特に子どもは敏感で、長時間の曝露により慢性的な炎症や結膜炎を引き起こす可能性があります。
    これらの症状を予防するためには、室内の換気や空気質の改善が必要です。
  1. 中枢神経系への影響:
  • 頭痛、めまい、集中力の低下
    シックハウス症候群は中枢神経系にも影響を及ぼし、主な症状として頭痛、めまい、集中力の低下があります。これらの症状は空気中の有害物質が脳に影響を与えることで引き起こされます。
  • 疲労感やイライラ感
    シックハウス症候群は、中枢神経系に影響を与え、疲労感やイライラ感を引き起こします。
    住宅内のホルムアルデヒドやトルエンなどの揮発性有機化合物が原因で、これらの化学物質が神経系に悪影響を及ぼすためです。
    特に子どもはこれらの影響を強く受けやすく、集中力の低下や情緒不安定が見られます。
  1. 発達への影響:
  • 認知能力や学習能力の低下
    シックハウス症候群は、ホルムアルデヒドやトルエン、キシレンなどの有害物質によって引き起こされ、子どもの認知能力や学習能力に深刻な影響を及ぼします。
    ホルムアルデヒドに長期間さらされると、集中力や注意力の低下、記憶力の減退が生じやすくなります。
    トルエンやキシレンは、脳の発達に悪影響を与え、学習意欲の低下や理解力の減退を引き起こすことがあります。これにより、学校の成績が悪化し、学業に対する自信を失うこともあります。

トルエンなどシンナーに近いものがありますので、脳への影響を予想することができます

  • 行動や情緒の問題。
    シックハウス症候群は、子どもの発達に深刻な影響を与える可能性があります。具体的には、行動や情緒の問題が増加し、集中力や学業成績の低下が見られることがあります。これにより、学校でのパフォーマンスや対人関係にも悪影響が及びます。
  1. 免疫機能の低下:
  • 感染症への抵抗力の低下
    シックハウス症候群は、建材や家具から揮発する化学物質により子どもの免疫システムに悪影響を及ぼすため、感染症への抵抗力が低下することがあります。
    特に、ホルムアルデヒドやトルエンなどの有害物質は免疫力を弱め、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。
    このため、子どもは病気に対する防御力が低下し、健康を維持するのが難しくなります。

シックハウス症候群を防ぐ

室内の換気を良くし、低揮発性有機化合物(VOC)を含まない製品を使用することが重要です。


シックハウス症候群の症状と自宅診断の推奨

シックハウス症候群の症状には、頭痛、めまい、目や喉の痛み、皮膚のかゆみ、倦怠感などがあります。これらの症状は他の病気と重なることが多く、診断が難しいことがあります。

例えば、アレルギーや風邪の症状と似ているため、見過ごされることがあります。症状が長引く場合や、特定の場所で悪化する場合は、シックハウス症候群の可能性を疑い、適切な対応を検討することが重要です。

シックハウス症候群の検査と住居環境の改善方法

シックハウス症候群が疑われる場合、まず医師に相談し、血液検査やアレルギー検査を受けることが大切です。

これにより、他の病気との鑑別が可能になります。

さらに、住居環境の改善が必要な場合は、専門家に依頼して空気質の測定を行うことも重要です。

シックハウスの調査や検査を行う専門機関一例

  1. 国立研究開発法人 建築研究所
    • シックハウス関連の研究や情報提供を行っています。
  2. 一般財団法人 建材試験センター
    • 建材のホルムアルデヒド放散量測定などを実施しています。
  3. 公益財団法人 日本環境協会
    • 室内空気質の測定や相談を受け付けています。
  4. 各地方自治体の保健所や環境衛生研究所
    • 室内空気質の測定や相談窓口を設けている場合があります。
  5. 民間の環境測定会社
    • 室内空気質の測定サービスを提供しています。


またこれ以外ににも、空気清浄機の設置で空気中の有害物質を減少させ、健康な住環境を維持するための対策を講じることができます。


換気と化学物質の排除でシックハウス症候群を予防する

シックハウス症候群を予防するためには、新築やリフォーム後に十分な換気を行い、化学物質の揮発を促進することも重要です。

更に詳しくみていくと低ホルムアルデヒドの建材や家具を選ぶことも有効で、有害物質の発生を最小限に抑えることができます。

特に、家具や建材に使用される接着剤や塗料の選択は直接肌に触れることがあるので、特に注意が必要です。適切な製品を選ぶことで、家庭内の空気質を大幅に改善できて子ども達に快適な環境を与えることができます。

家具や建材に使用される接着剤や塗料の選択に注意することで、家庭内の空気質を改善するためには以下の点に気を付けることが重要です。

主に気を付ける7点

  1. 低揮発性有機化合物(VOC)製品の選択:
  • VOCの含有量が少ない、または含まない製品を選びましょう。これにより、室内の有害物質の放出を最小限に抑えることができます。
  • 「低VOC」や「無VOC」と表示された製品を探してください。
  1. 認証ラベルの確認:
  • エコラベルや環境認証マーク(例:エコマーク、GREENGUARD、Blue Angelなど)が付いた製品を選ぶことで、安全性が保証された製品を使用できます。
  1. 水性製品の利用:
  • 水性接着剤や塗料は、溶剤系よりも揮発性有機化合物の含有量が低く、安全性が高いです。
  1. 自然素材の選択:
  • 自然素材を使用した接着剤や塗料(例:天然樹脂、蜜蝋、植物油ベースの塗料)を選ぶと、化学物質の影響を減少させることができます。
  1. 製品の成分表示を確認:
  • 成分表示をよく読み、有害な化学物質(ホルムアルデヒド、ベンゼン、トルエンなど)が含まれていないか確認しましょう。
  1. 専門家の相談:
  • 環境に配慮した建材や接着剤の選び方について、専門家に相談することも有効です。

これらの注意点を守ることで、室内の空気質を大幅に改善し、健康的な生活環境を維持することができます。

シックハウス症候群とは?子どもの健康を守るためのポイント まとめ

いかがでしたでしょうか?

シックハウス対策としては、空気清浄機の導入などもありますが、シックハウスになる前の段階で出来ることは沢山あります。

まず、第一に小さなお子さんをお持ちのご家庭では、シックハウスの知識をよくつけて自宅を建てる際やリフォーム工事をする際には、業者さんとしっかり相談することで未然に防げることがあります。ぜひ、その知識の入り口としてこの記事を参考してください


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